外伝３巻　幽霊船

A VESSEL THAT VANISHED


第一話　ヴァラキアの少年
第二話　幽霊船
第三話　船の墓場
第四話　夜光虫の海

あらすじ

　ヴァラキアの孤児イシュトヴァーンはばくちのいざこざでヴァラキア公弟オリー・トレヴァーンに追いかけられす身となった。イシュトヴァーンをあとつぎに望んでいる≪オルニウス≫号の船長カメロンのもとに逃げ込んだイシュトヴァーンは、≪オルニウス≫号の任務である幽霊船退治に同行することになる。幽霊船との戦闘で海に投げ出されたイシュトヴァーンはタルーアンのヴァイキング船に助けられ、タルーアンの美女ニギディアたちとともにクラーケン退治に向かうのであった。
　後の＜紅の傭兵＞イシュトヴァーンの冒険の物語。

登場人物

人名 備考
オフィウス 【人はみなそれぞれの港をいでて嘆きの船となりぬ。　──オフィウス詩集　『アルシャザード』より】
リンダ パロの王女　「ねえ、リンダ、そんなに気をもんでも、しかたがないよ」
レムス パロの王子　【レムスが昼食をのせた盆をかたわらにおいて、】
グイン 豹頭の戦士　「海におちて、いくらグインでも、どうやって……ああ、ヤヌスよ！」
イシュトヴァーン ヴァラキアの少年　十六歳　どこからどこまで、何かしらひと目をひく少年　
ﾛｰﾀｽ･ﾄﾚｳﾞｧﾝ ヴァラキア公　英明、果断でヴァラキアを守る君主として何の不足もない
カメロン ≪オルニウス≫号の船長　口ひげの似あう四十がらみの船乗り　イシュトヴァーンをあとつぎにしたがっている
カンドス ヴァラキアの伯爵　トレヴァン公のお気に入り　「あの助平のカンドス伯爵になびくふりをして、」
ライス　 「港湾組合のギルド長のライス、あれの上のむすめ、太っちょの
　パウラ夫人から、つつもたせをやったというじゃないか」
パウラ夫人
イシュトヴァーン 「イシュトヴァーンという、この大昔の偉大な王の名をおれにつけてくれたんだ。」
光の公女 「いつかおれは≪光の公女≫にめぐり会い、その公女が、おれを王座につけれくれるだろう、」
オリー・トレヴァーン ヴァラキア公弟　ろくでなし　毎晩のようにチチア地区にお忍びで入りびたっている
ヴァイア 下ヴァラキアの大きな生糸問屋の娘　イシュトにみついでいる
ライラ　　 「あのいやなライラ夫人みたいに、私が家のお金を持って来ないと、私をすてて、」
キバ あいまいやどの婆さん　「おお、イシュト、やっぱりここか。キバの婆さんにきいてさ」
ヨーム イシュトヴァーンのわるい仲間　大柄で少し鈍そうな若者
ピット はげあがった、陽気な悪党面の賭場のおやじ　「よう、ピットとっつぁん」
ヨピス ピットのところのころ師　腕がいい　「ころを振ってるのは、だれだ」「ヨピスだよ」
コルド 伝説的なばくち打ち　イシュトを育てた　「あの伝説的なばくち打ちコルドにかあいがられ、」
ヤン　　　　 ピットの賭場にやってきた男　陰気な不吉な感じの漂う男
ロイ　　 チチアの娼家のおやじ　「ロイおやじ、すまねえ、追われてるんだ。通してくれ」
モイラ チチアの娼婦　イシュトを追っかけている　「てめえんとこのモイラをブチ殺してやる。」
チリー チチアの住民　「おめえはここからチリーばばあのところへでもいけよ。」
イル ヴァラキア公弟オリーの兵士　イシュトをさがしている
ログ オルニウス号　船長付きの若者　「おお、ログ、ちょっと港のようすがへんだ。」
ダナエ 「ロータス公の公女ダナエ姫に、手ごろなあいてをめあわせてあとつぎにといえば、」　
タルー クムの三王子の末っ子　ダナエ姫の婿侯補
ミアイル モンゴールの幼い公子　ケイロニアのシルウィア姫にと目をつけられている
シルヴィア 「ミアイルは、すでにケイロニアのシルウィア姫にと目をつけられているというし、」
ヴラド 「あの野心家ヴラド大公の方で、小国ヴァラキアなど相手にするわけがないが──」
フィルス オルニウス号の副長　「いきなり甲板から副長のフィルスがかけおりて来た。」
ロス　 ヴァラキアの港湾管理官　オルニウス号の臨検に来た　「──あんたか、ロス、デムシウス。」
デムシウス
カイ　 カメロンの小姓　カメロンの部屋の掃除をしている
ジェークス オルニウス号の若い水夫頭　オルニウス号の若手一の腕利き　
ルー　　　 オルニウス号　カメロンの身の回りの世話係　巻毛の十五、六の子ども
ガン オルニウス号の甲板長　「おれは、甲板長のガンだ」
マイルス　 オルニウス号の船員　イシュトヴァーンに自己紹介した
タジオ
ラン　　　　 オルニウス号の船員　イシュトヴァーンに自己紹介した　かけごとがつよい
アンダヌス 自由貿易都市ライゴールの長　ロータス公の親友
テヴェール オルシウス号の船長　カメロンを弟のようにかわいがっていた
ムヤッタ フィリアンティアから来たカメロンの昔なじみの船長　≪キュクロベ≫号の船長
ヴォーラン オルシウス号の甲板長　たったひとりでヴァラキアに帰り着きオルシウス号の最後を報告した
カンポス卿 「話をきいたのは、おれとロータス公、そして海軍をひきいるカンポス卿ただ三人きりだ。」
クラーケン タルーアンに近いノルンの海のあたりに出る化物
ベン オルニウス号の台所番　【台所番のベンじいに、穀物を虫をつけずに長もちさせる方法や、】
ログ 「──ログの弟たちも乗ってたし、ベンじいのせがれも乗ってる。」
ティア 「真実を守るティアにかけて、おれは見たままを云っただけだよ」
ロク オルニウス号の水夫　幽霊船を見てマストから落ちた
ニギディア タルーアンのヴァイキングの女　クラーケンを求めてレントの海にやってきた
シグルド 【タルーアンといえば、海賊王シグルドをいただき、十二の海をかけめぐる海の民であり、】
オーディン タルーアンの神　「オーディンに感謝を！」「オーディンよ守りたまえ！」
ブラギ タルーアンの偉大な王であり魔法つかい　クラーケンを追い払い、氷雪の彼方に封じこめた
スレイ ニギディアの愛人　「連れていった死者の中に、あたしの愛人のスレイがいた」
ログ オルニウス号の船員　（ジェークス。フィルス。ログ──ルー。ベンじい。タジオ）
タジオ
ニオルド タルーアンの≪フレイヤ≫号の船長　恐ろしく大きな男で、顔じゅうに赤い髭を持つ
オラフ タルーアンのヴァイキング船の船員　「オラーフ！　銛の用意を！」
オキーフ タルーアンのヴァイキング船の船員　【かじとりのオキーフもまた、いそがしくかじをあやつっている。】
ラン　　　　 オルニウス号の船員　【しっかりもののフィルス、かけごとのつよいラン──その死者たちは、みな】
ロキ タルーアンのヴァイキング船の船員　【見張りのロキは、しきりとかんてらをかざしてみながら、】
ヨフニル タルーアンのヴァイキング船の船員　偵察に行った　「気をつけろ、ヨフニル」
フルム タルーアンのヴァイキング船の船員　偵察に行った　「気をつけろ、フルム」
ワイラス タルーアンのヴァイキング船の船員　偵察に行った