BEAUTY IN BLACK
| 第一話 闇が丘の狂女 第二話 謎の聖都 第三話 ミロク大神殿 第四話 ヨナの悪夢 |
イシュトヴァーンがパロ国境に千の兵を率いて現れ、クリスタルへ入る許可を求めたことでパロ政府はあわてふためく。国境まで迎えに出たパロ宰相ヴァレリウスはイシュトヴァーンの目的がリンダへの求婚であることを知る。リンダと相談したヴァレリウスはイシュトヴァーンをクリスタルへ迎えた上で、リンダにはアル・ディーンという婚約者がいるという理由で申し出を断ろうとする。そこへサイロンから黒死病の流行についての連絡が入る。
クリスタルに入ったイシュトヴァーンは、歓迎の宴の時にリンダを庭へ誘い出し、そこで求婚する。リンダはアル・ディーンとの婚約を盾にそれを断る。イシュトヴァーンはクリスタルの宮廷で徐々に年寄り貴族や老貴婦人たちをまるめこみ、クリスタル・パレスの注目の的となる。クリスタル宮廷の社交界は久々に活気づく。しばらくはおとなしくしていたイシュトヴァーンであったが、ある日ヴァレリウスの元を訪れ、フロリーとスーティを引き渡すように要求する。
前巻のラストでパロに向かったイシュトヴァーンがクリスタルでリンダに求婚する。という内容なのですが、リンダはリンダらしく（笑）、イシュトはイシュトらしく（笑）、ヴァレリウスはヴァレリウスらしく（大笑）とてもおもしろく読めます。それぞれのキャラクターがきちんとそれぞれの性格で対応するというのは長い物語としてはとても大切なことだと思います。
その点グイン・サーガは安心して読める物語だと思います。相変わらずサイロンの大事件がパロから見て語られますが、あの事件の余波が諸国に波及していたのがわかってしみじみ物語の奥の深さを感じました。
表紙はリンダ、丹野さんのリンダにしては肌の露出が少ないです…そうでもないか（笑）口絵のリンダの方がリンダらしいですね。
栗本薫さんの生前に発売されたのはこの巻が最後です
ところで３５ページのお坊ちゃまはどなたでしょうか（笑）
舞台は全面的にパロです。ちょうどサイロンで『七人の魔道師』事件が始まった頃、イシュトヴァーンは、そしてリンダは何をしていたのか。という巻で す。「イシュトヴァーンの奇襲か！」なんて心配していたグインですが、イシュトヴァーンはリンダの居間を奇襲しようとしていました（笑）
クリスタルの宮廷できちんと自分の居場所を作ってしまうイシュトヴァーンがさすがです。