JUSTICE OF JARN
| 第一話 夜明け前 第二話 深い森の中で 第三話 挙兵 第四話 ルシニアの誓い |
モンゴール東の辺境でヴァラキアのイシュトヴァーンと軍師アリはアムネリア離宮から脱出させたアムネリスとともにモンゴール再興のための挙兵を目指していた。盗賊達を引き連れたイシュトヴァーンは廃城になったルシニア砦に入り、モンゴールの残党に呼びかける。タロス城のアリオン、クムに従っているメンティウス、タリアに逃れたサイデン。なかなか思うように兵が集まらずにいらだつイシュトヴァーンとアムネリスであったが、その彼らの前に三万の兵をひきいたマリウスあらためマルス伯爵があらわれる。モンゴールのマルス伯爵を思いだし慄然とするイシュトヴァーンであったが、これによりモンゴール再興の挙兵が実現する。アムネリスは第二代モンゴール大公たることを宣言し、モンゴール大公国の独立を宣言するのであった。アムネリス軍はモンゴール奪還の義勇軍を増やしながらトーラスへ進軍し、その傍らにはモンゴールの白い鎧を着たイシュトヴァーンが寄り添っていた。そしてクムのタルー軍はクム街道を北上し、トーラスを目指す。両者はトーラス郊外のミダの森で対峙する。ここにモンゴール奪還戦争の幕が切って落とされたのである。
『ヤーンの日』『ヤヌスの戦い』組み合わせです。語呂が良いですね。ずいぶん先ですが『ルアーの角笛』『ヤーンの翼』というセットもありますが、どちらかというと『ヤーンの日』の報のセットの方が私は好みです。
ということで、イシュトヴァーンの国盗りの始まりです。表紙はなんだか微妙に派手なイシュトヴァーンですが、今回の一押しは口絵のカラーイラストです。ルシニア砦での盗賊達の宴会と中央のアムネリスがとてもいい一枚の絵になっています。旧モンゴールの勢力が徐々に集まってくるところは盛り上げ上手な栗本薫さんの本領発揮です。『ヤヌスの戦い』へむけて徐々にエネルギーが集中する、そんな一冊です。(2010年3月12日)