WINDS' WHEREABOUTS
| 第一話 サイロンの一番長い日 第二話 ここより永遠に 第三話 風のゆくえ（一） 第四話 風のゆくえ（二） |
マライア皇后の秘密裁判でダリウスはマライアをユリア・ユーフェミア暗殺の罪で告発する。ダリウスは証人としてイリスを出廷させようとするが、イリスは一瞬早く逐電していた。イリスはマリウスの元に走り、ケイロニアを出て二人で生きていくことを誓いあう。その二人を討とうとしたダリウスは、ユリア暗殺の真の犯人であることをグインに見抜かれ、ケイロニアから逃げ去っていった。イリスの名を捨てたオクタヴィアとマリウスはアキレウス皇帝に別れを告げて旅立っていくのであった。
そして、グインは一万人の兵を率いてユラニア戦役に向けてケイロンを発っていった。
パロでは国王レムス一世が摂政アルド・ナリスをうとんじるようになっていた。レムスは暴君として振る舞うようになり、リンダは心を痛めていたがなすすべもなく見守るだけであった。
クムではかつての公女将軍アムネリスがクムのタリオ大公の妾としてルーアンに囲われていた。アムネリスはただ一人の侍女フロリーとともにモンゴール再興を心に秘めていた。
そしてスカールはノスフェラスで病に冒され、やせ衰えたすがたでようやくモンゴールの辺境ルードの森まで帰ってきていた。
さまざまな運命がふたたび絡み合おうとしていた。
「あの人は今」という一冊です。
ケイロニアの一員として認められユラニア戦役に向かうグイン。タヴィアと旅立つマリウス。アルド・ナリスとレムスの対立は顕著となる。アムネリスはタリオ大公の妾となり、モンゴール再興の心は秘められたまま。スカールは病み衰えた体でようやく中原に戻る。
さまざまな出来事がまた複雑に絡み合おうとしていた。
グイン・サーガのおもしろさは、グインという主人公だけでなく、中原という世界の広がりがあるところです。中原の世界がこの後どのように進んでいくのか、この巻はその指針となる巻です。(2010年2月27日)