２４巻　赤い街道の盗賊

THE HENNA HIGHWAY HORDE

『風のゆくえ』へ←　あらすじ　→『パロのワルツ』へ

　スカールは草原に戻るために、グル族を少数に分け、モンゴールから脱出しようとしていた。スカール自身は五十名のみを率いて草原に向かっていた。
　その頃、ケイロニア＝ユラニア国境ではケイロニア軍を率いたグインがユラニア軍と戦っていた。ユラニア軍を倒し、ユラニア中心部まで進軍したいグインであったが、ケイロニア皇帝アキレウスからのこちらからは打って出るなという指令のために守りの戦いを余儀なくされていた。計略によって二万のユラニア軍を壊滅させたグインであったが、ユラニア軍は死者をよみがえらせる暗黒の魔道を用いてケイロニア軍に挑んでくる。戦いは長期戦になろうとしていた。
　スカールはクム＝パロ国境のザイムまでたどり着いていた。ザイムの宿でスカールは宿の主人から赤い街道の盗賊団の話を聞く。それはイシュトヴァーンと名乗る赤い街道の盗賊団の首領が、どうやって短い期間に首領までのしあがったのかという物語のような話であった。イシュトヴァーンとその軍師アリは盗賊団ミルヴァのガイアス、サルジナのウルスを計略によって討ち取り、盗賊団をのっとり首領になったのだった。
　パロ国境警備隊が赤い街道の盗賊を討つために出勤したことを聞いたスカールはパロに捕まることを恐れ、出発する。そのスカールの前にイシュトヴァーンが現れる。スカールを捕らえ人質にしようとするイシュトヴァーン。グル族は圧倒的な人数の盗賊達に次々と倒されていく。そして、スカールを捕らえようと近づいてきたイシュトヴァーンにスカールは最後の力で手傷を負わせる。それに怒ったイシュトヴァーンの一撃をスカールの盾になったリー・ファが受け、リー・ファは命を落とす。絶体絶命のスカールの前にパロ国境警備隊が現れ、盗賊達は逃げ去っていく。リー・ファをはじめとする多くの部の失ったスカールは、妻の敵イシュトヴァーンの名を魂にきざみつけて、クリスタルへ向かう。

またしてもあらすじがとても長くなってしまいました。なぜか短くできない巻とわりと短くまとめることができる巻がありますね。理由はわかりません、好き嫌いとはあまり関係ないようなのですが。

リー・ファ（合掌）

で終わりと言えば終わりなのですが、この巻は冒頭から最後まで見事に一本の流れに乗ってできあがっているとても完成度の高い巻だと思います。前半のイシュトヴァーンが赤い街道の盗賊になるまでの話。そして盗賊達とスカール達の戦いのシーン。そして…スカールの最後の台詞が…。(2010年3月 2日)