THE CALIGINOUS CABALS
| 第一話 風に吹かれて 第二話 陰謀流行 第三話 悲劇と悲喜劇とさまざまなドラマ 第四話 闇の中の怨霊 |
ユラニア戦役が一段落し、ケイロニア軍は帰国し、左府将軍イシュトヴァーンの率いるモンゴール軍も帰国の日を間近にしていた。イシュトヴァーンはユラニアの少年リーロと穏やかな日々を送っていたが、その裏でクムの公子タルーとモンゴールの軍師アリストートスはユラニアにクムとユラニアの婚姻の絆を結ばせることで、弱体化したユラニアを食い物にしようとしていた。クムの公子タルーとユラニアの公女ネリイはお互いに利用価値を認め合い、共にクムとユラニアを自分たちのものとするための陰謀を企む。一方、アリストートスははぐれ魔道師のオーノやならず者の傭兵ガフとロンを手下に、ユラニアへの陰謀を企むのだった。
イシュトヴァーンはヴァラキア海軍提督カメロンがヴァラキアを去り、モンゴールに仕えるべくトーラスに到着したことを知り、ユラニアの少年リーロと共にトーラスへの帰還を楽しみにしていた。しかし、リーロはリーロとイシュトヴァーンの接近を好まないアリにより密かに殺害されてしまう。イシュトヴァーンはリーロを失った心の傷を抱えながらモンゴールへの帰途へ着く。
こうして、第二次ユラニア戦役は終結を遂げ、ゴーラに新しい時代の幕開けがやってくるのであった。
表紙はイシュトヴァーン。この巻のメインだから当然ですね。帯は「希望と絶望のはざまで」前半で希望に満ちているだけに落差が大きくてつらいですね。
この巻の章タイトルはどれもすてきです。なんといっても「陰謀流行」と「悲劇と悲喜劇とさまざまなドラマ」は私の選ぶベスト章タイトルの候補です。
タルーとネリイの陰謀はなかなかに面白いシーンで、タルーが剛胆なのをこれほど実感した話は他にないですね（笑）魔道師のオーノもこのあとだいぶ活躍するのですが、ここではまだ顔見せ程度です。(2010年5月 6日)